活版印刷に俺が携わってもうかれこれ15年程になる
機械もはり10数年つきあっていれば実は簡単に見えて
色々とコツや技量やある程度の技を知らない間に身につけている
特にインクの調合とか圧の具合 機械の調子もスイッチを入れて 「音」でわかるように
なってくる 車の整備士と似ていてエンジンをかけてだけで
車のどの部分が不具合なのかある程度予測できる
機械は本当に正直で 電機を入れると音の違いも感じとれる
あっ 今日はご機嫌やなとか なんか重たいなとか不思議に感じる
面白いもので体の一部のような感じもする レバー一つをとっても
軽く感じる日やぎくしゃくする日もはっきりとわかる
以前は海外に招待していただき同じ機械を何度も触った
電機を入れて稼働させるとやっぱりまったく違う生き物のよう
日本に帰って俺の機械を触ると安心する 本当はもう色々な
自分でマスターした機械の技術を若い子に伝承しないといけないのは
わかってるけど実はあまり触られたくないのが本音
俺の機械なのでやはり機械も俺のコツやクセが満載されているのである
本当にビックリするほどの「微調整」が自分の中に組み込まれているので
反対に誰かが少しでも触るとわかってしまう それくらい惚れこんでいる
でもその部分を解消するにはもう一台機械を入れなければいけない
俺は自分の機械を触られたくない